木の知識・効用

殺虫・防カビ作用

杉の葉を蒸した蚊取り線香、クスノキから得られる樟脳(防虫剤)などが一般に知られていますが、このほかにも多くの精油成分に昆虫忌避効果が報告されています。
また、木のにおいの中には、クロカビやアオカビ類、木材腐朽菌などの菌に抵抗力をもっているものがあります。特にヒノキ、ヒバのにおいには、強い抗菌性が認められます。
このように木のにおいは、害虫を追い払い、カビを防ぐなど不思議な力をもっています。抗生物質や合成薬品などのような強力な作用はないのですが、反面穏やかに作用するため、副作用が少ないことが特徴です。
環境汚染、抗生物質の耐性菌などが問題とされるようになり、天然精油の特性が見直され、研究も盛んに行われています。


森のにおいと健康

森の中に入ると、すがすがしいにおいに包まれます。このにおいが樹木の発散する芳香、フィトンチッドです。
フィトンチッドは、植物がたえず侵入しようとする微生物から身を守るためにつくりあげてきたといわれます。
森の中には動物の死体や種々の堆積物があります。本来なら、これらの悪臭が気になるはずが、それをまったく感じさせないのは、フィトンチッドが抗菌性や消臭効果をもち、環境を浄化する能力があるためです。
桜餅や柏餅、笹団子も、鮨屋のケースにみられるスギやヒノキの葉も、刺身に添えられるシソの葉もフィトンチッドの殺菌力、消臭効果を利用しているものです。
フィトンチッドは人の健康にも、好ましい影響を及ぼすことも、科学的に明らかになってきています。
こういうことから、森の中でフィトンチッドを胸いっぱいに吸込み、心身をきたえようという森林浴も盛んになってきています。


床の快適性と安全性

人は歩いている時、あるいは飛び跳ねた時に、足や膝、腰などに衝撃をうけます。衝撃の程度は材料の衝撃吸収力によりことなります。では、人が床に転倒したり壁に衝突したときには、どのくらいの衝撃が発生するのでしょうか。
たとえば、90cmの高さから人が飛び降りたときは、約400kgの力が作用するといわれます。その衝撃力は床材料で異なりますが、柔らかい発泡ウレタンであっても、超重量級の関取が頭にのしかかったときに受ける力に匹敵するほどです。このような衝撃力が、転んだり、飛び跳ねたときに瞬間的に足や腰などに加わると考えられます。例えば、茶碗を布団の上に落としても割れませんが、コンクリートの上に落とすと割れてしまいます。布団とコンクリートでは、衝撃の吸収力が違うからです。
衝撃の吸収力を割れやすいガラスの玉を落下させて調べてみると、木材とコンクリート、プラスチックの床とでは、2〜3倍もの違いがみられます。
木材はものが衝突するとまず表面層の細胞が柔軟に変形し、さらに次の層の細胞が変形しというように衝撃が伝わります。そして細胞から細胞に伝わる間に、衝撃力も吸収され、緩和されていきます。
また、木質材料はの床は、人が飛んだり、跳ねたりしたときの衝撃力を、適度なたわみ変形となめらかな戻りよって和らげます。
特に激しい運動をする体育館の床などは、材料の衝撃吸収力だけでは対応できない為、たわみ変形による緩和効果が求められます。
転倒や転落事故を防ぐには、床や階段の表面材料を滑りにくいものにすることが大切です。さらに柔らかく衝撃を吸収・緩和できる木質材料にしておくと、万一のときにも大事に至らないですみます。このような配慮は、住宅だけでなく病院、老人施設、地域の集会場、娯楽施設など公共施設においても欠かせません。


材料で違う衝撃吸収力

左図は、割れやすいガラスの玉に砂をつめて落下させ、ガラス玉が割れる落下高さを実験し、材料別に衝撃吸収力を調べたものです。落下高さが高いほど衝撃に柔らかく対応し、衝撃吸収力が大きいことを示していますが、木材の落下高さは35〜40cmで、プラスチックが10〜20cm、大理石や人造石が15cmとの結果が得られています。